島根県隠岐の出身の吉本さんは、北九州市に移り住み、電気工事業の会社を設立。経営は順調だったが、家が貧しくて大学に行けなかったことが心残りで、70歳を過ぎて一念発起。北九州市立大学の一般社会人向け受講システム「科目等履修制度」を活用して大学に通うように。そんな体験の中で、授業中に居眠りしている学生が多いのに気づき、理由を尋ねると、学費や下宿代のためにアルバイトに忙しいという返事。そういう学生たちのために、返済不要の給付型奨学金制度を始めた。希望する学生に４年間、年間24万円（計９６万円）を支給する制度。資金は、協力者や会社、店舗などに牛乳パックなどで作った「一円玉募金箱」を置いてもらい、その募金を基にしている。現在では、中学生を対象に無料の学習塾を展開。その講師に大学生を採用しアルバイト先を提供することで学生も支援している。